夏の朝顔と備前焼の器
朝の庭でみつけた涼
日の出とともに庭へ踏み出すと、やわらかな朝露に濡れた朝顔が一斉に花を開いている。
透きとおる薄紫や淡い水色の花弁が、強い日差しの前触れをやさしく和らげてくれる。
葉陰から聞こえる小鳥のさえずりとともに、夏の一日が静かに幕を開ける瞬間だ。
備前焼に宿る火色
手にした備前焼の器は、無釉の素地が生き生きとした表情を伝えてくる。
炎と土が対話したあとに残る黒褐色や赤錆色の斑点が、庭の緑に寄り添うように響き合う。
手に含むと、ひんやりとした土肌の感触が指先をくすぐり、炎の記憶をそっと教えてくれる。
冷たいひとときを器とともに
冷蔵庫から取り出した麦茶を注ぐと、土肌に浮かぶ水滴が小さな星のようにきらめく。
ゆっくり口に含むほどに、ほのかな苦みと麦の香りが身体の内側へと染み渡っていく。
朝の光が器の縁を照らし、ひとときの涼が夏の喧騒を遠ざけてくれる。
夏の余韻を携えて
朝顔の色がしだいに閉じはじめる頃、庭にはすでに昼の気配が満ちている。
それでも備前焼の器を手放せないのは、炎と土が生んだ温もりが心を静めるからだ。
夏の暑さを迎え撃つ小さなレジスタンスとして、このひとときを大切に刻んでいきたい。
暑い日が続くと思ったら強い雨が降ったりと不安定な天気になりましたね。
それでは今日はここまで。
またよろしくお願いいたします。